ナタネに関するオーストラリア政府への申し入れ

2005年9月21日

オーストラリア連邦政府
農務大臣ウォレン・トラス様

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
代表 天笠啓祐

日本では、港の周辺で遺伝子組み換え(GM)ナタネの自生が発覚して以来、自生の拡大に対する懸念が増しています。この除草剤耐性のGMナタネは、カナダから輸入したナタネの種子がこぼれ落ち、広がりました。私たちは今年3月から5月にかけGMナタネ自生の全国調査を行いました。その結果、汚染は港や幹線道路、食用油工場周辺にとどまらず、住宅街、河川敷にまで広がったいることがわかりました。

このような自生の拡大が続けば、生物多様性に影響を及ぼし、日本の生態系にダメージを与えることは必至です。私たちはナタネの近隣種である、アブラナ科のキャベツ、ハクサイ、ダイコン、カブ、コマツナなどの農作物をよく食べています。GMナタネは農作物を汚染することになります。これは、環境、農業そして私たちの食文化に対する脅威です。現時点では、GMナタネによる汚染がどのくらい広がっているのかわかっていません。こぼれ落ちたGMナタネはすでに雑草化しているかもしれませんし、まわりの近縁種と交雑したり、野生種と交雑を起こしているかもしれません。更には、世代を超えて遺伝が広がっていく危険性さえあります。日本では、生産者がこの問題を真剣に受け止め懸念しています。

GMナタネの汚染が確認された場所では、製油会社の敷地外は、港の管理局や自治体が、GMナタネがはびこるのを防ぐため、地域の市民や生産者、消費者団体とともに除去作業を行っているところもあります。

しかしながら、GMナタネの輸入や輸送が続く限り、汚染は繰り返されることから、これは一時的な解決法でしかありません。日本は毎年約2百万トンのナタネを輸入し、主に食用油や家畜飼料、そして肥料として使っています。

日本の環境をこの深刻なGM汚染から防ぐために、唯一の実行可能な解決法は、GMナタネではなく非GMのナタネを輸入することです。

2003年度に日本が輸入したナタネのうちの推定80%(160万トン)がカナダ産で、17%(34万トン)がオーストラリア産、近年になってフランスからも輸入が始まり、およそ3%(6万トン)が日本に入ってきています。

私たちは、最大の輸出国であるカナダ政府に対して、GMナタネが日本で引き起こしている事態を示し、GMでないナタネだけを日本に供給するようお願いします。

私たちの把握している限りでは、現在、オーストラリアとフランスでは非GMナタネの供給が可能ということです。

貴国におかれましては、ぜひ非GMナタネの生産を続けるとともに、将来にわたりGM生産国となられないようお願いいたします。