遺伝子組み換え綿の種子の違法流通に関する質問状への回答

日本で確認された遺伝子組み換え綿の種子につい

2018年3月、農民連食品分析センターによって、初めて遺伝子組み換え綿の種子が日本で販売されていることが確認されました。農家から播種前に検査を依頼され分析した綿の種子がGM綿だったのです。検査がなければ、知らないまま商業栽培が行われていたことになります。

農水省は2014年12月25日、GM綿の検査法を開発している最中に、中国から輸入した栽培用の綿の種子に、モンサント社の種子が混入していることを発見していました。この種子は、食品や飼料としての利用、運搬に際するこぼれ落ち等に関しては承認されているものの、カルタヘナ法に基づく栽培許可を得ていません。種子は、株式会社札幌採種園(札幌市)が2010年4月から2012年7月にかけて中国から輸入したものです。それを「トールコットン」という商品名でカネコ種苗と日光種苗が、「自然の繊維・コットン」という商品名で第一園芸が販売していました。農水省と環境省は、これらの種苗メーカーに対して、これらの綿の種子の回収を命じました。混入していたのは、モンサント社の殺虫性綿「MON531」と除草剤耐性綿「MON1445」の2種類でした。

GM綿の種子が流通していることが、韓国からも寄せられました。韓国では昨年、木浦市高下島の綿花栽培地(3ha)で見つかり、使用した農家は51に達しました。種子は、農業振興庁所属研究所から供給されたもので、20kgの種子の一部が汚染されていました。この種子中国から提供されたもので、一部、日本から提供されたものも入っていたと報告されています。日本でGM綿の種子が確認されたことから、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンは日本消費者連盟と連名で、2018年6月11日に農水省・環境省宛てに公開質問状を出しました。

同質問状について、7月3日に農水省と環境省の担当者と直接面談して口頭で以下のような回答を得ました。

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【質問1】日本で遺伝子組み換え(GM)綿の種子が出回っていることが確認されました。確認したのは農民連食品分析センターで、今年3月に農家から播種前に検査を依頼され分析した洋綿の種子がGM綿だったのです。この場合、播種前だったため止めることができましたが、おそらく広範にGM種子が出回っていると思います。このようなGM種子の流通に関する情報は貴省では把握されているのでしょうか。
【回答】以前、中国から輸入された種子が汚染されて以来、種子の輸入業者などに対策の徹底を求め、輸入時の検査を強化してきました。

【質問2】農水省は2014年12月、中国から輸入した栽培用の綿の種子に、モンサント社の種子が混入していることを発表しました。その後、追跡調査はされているのでしょうか。
【回答】検疫段階での検査強化に努め、輸入されないように水際で対策を行ってきました。

【質問3】韓国では昨年、木浦市高下島の綿花栽培地(3ha)でGM綿の栽培見つかり、その種子がやはり中国から提供されたもので、一部、日本から提供されたものもあると伝えられています。この事実は把握されているでしょうか。

【回答】この事実は把握していませんが、日本の場合、輸入業者も2014年の違法輸入事件以来、この問題には慎重になっています。

【質問4】日本での種子綿の汚染が確認されたことで、汚染源の特定と汚染の程度の調査が必要になってきました。今後、貴省ではどのような取り組みを行う予定でしょうか。また、とりあえず中国からの綿の輸入種子を停止する必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
【回答】検疫の段階の検査で、日本に入れさせないことが大事だと思っております。

【質問5】韓国では、中国から輸入した観賞用の菜の花の種子からもGMナタネが見つかっています。日本では中国からのナタネ種子の輸入の際に、検査されているのでしょうか。また、検査されていた場合、これまで違反となるようなGMナタネが見つかったケースはあるのでしょうか。また検査されていない場合、これから検査を強化する予定はあるのでしょうか。
【回答】カルタヘナ法に基づき、対応してきましたし、今後も対応していきます。

【質問6】今回、中国から輸入された種子に問題がありました。しかし、大半の種子を輸入に頼っている日本の現状では、中国以外からの種子輸入でも同様のことが起きる可能性があります。今後、どのように検査体制を強化していかれるのでしょうか。
【回答】これまでも検査を強化してきましたが、このことは継続させていきます。

 

<追記>
農水省は2014年度から2016年度にかけて、3年間、GM綿の自生調査を行い、その結果を公表してきました。2016年度は1か所から自生が確認されました。調査を行ったのは、営業倉庫3施設、飼料工場3施設、製油工場1か所の計7か所の敷地の周辺で、位置や名前は記載されていません。そのうち飼料工場の1施設周辺で自生が確認されました。2014年度が1個体、2015年度が4個体見つかっており、3年連続の確認となりました。同省は、これまで検出された場所とは異なることから、新たにこぼれ落ちた種子が発芽・生育したものだと報告しており、この3か年の調査で、冬を越せないなど汚染の拡大などの懸念がないことから問題ないと判断し、調査を終了させました。